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Fleurage―たおやかな花たち―

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カテゴリー「九月の夏」の記事一覧

    

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Posted on 14:48:19 «edit»

Category:九月の夏

九月の夏 その参 

途中まで書いてて‥ようやくこれはしあげました。
3部作だと言ってたはずで‥せめて最後のお話しは
UPしないと‥そう思ってなんとか(^_^;)

出来栄えについてはなんとも。
萌えがないですから。
ほぼ薪さんのモノローグです。よろしかったらどうぞ‥
ひぇーーーー‥



九月の夏 その参



「‥雨だ」

熱かった青木の体が冷めてどれくらい経ったろう、
裸の胸に押し当てていた頬を離してまだ陽の昇っていない天窓を見上げた。

それから‥そっとベッドを抜け出してパジャマを着ると
朝方の静かな雨が降りしきるベランダに出て僕はこの夏を振り返ったりする。

窓を背中にして昏い森と海をみつめながら雨の滴を受けていると
後から後から‥思い出して―

『2000年雨が降り続くってどんなでしょうね』
夏の初めに降り続いた雨にうんざりして青木が言った。

雨が降るとバカのひとつ覚えみたいにそう言う。

『生き物のいない頃のことじゃないか』
『そうですけど気になるじゃないですか』
‥ものすごく楽しそうに。
 
普通2000年も続く雨って聞いただけで憂鬱になるのに
雨が好きな僕でさえ。
‥面白いな‥やっぱり青木は。
飽きないのがいい。
それに‥
一緒にいて喋っていても黙っていても空気が澱まないし
不思議なことにピリピリして地面に貼りついているような精神も
温かで柔らかな空気に浮上するしかなくなってくる。

丁度、暗い朝方の空から灰色の雲が払われていくような―
そんな感じだ。

『夏になったらウッドデッキで朝食を摂りたいですね。
それも裸足で。
それから夜になったら星なんか見たりして』
リビングから雨の降り止まない空を見上げて
明るい声でそんなことを僕に告げた。
『お前の夏のイメージは単純だな』
『去年は別々だったんですよ、今年は引っ越して初めての夏じゃないですか
だから夏らしいことをしたいです』
『夏らしいこと‥ってなんだ』
『ウッドデッキで食事するのもそうですけど‥花火とか‥』
『花火?ウッドデッキで?』
『バケツを持ってきてその上で線香花火とか‥』
『地味なことで』

そんな青木の計画通り僕らは晴れた朝はウッドデッキで食事をした。
『‥何が楽しいんだ』
『こういうことしたかったんです。
夏らしいし、外で食事すること自体が楽しいですよ』
『そんなものなのか‥?』
『そんなものですよ。
でも薪さんと一緒だからいいんですけどね。
いまこの一瞬は二度と無い一瞬ですよね、一秒前にもひとは戻れない。
だったらいつも楽しいことをしたいです。
薪さんにとって嬉しいこととかオレにとって楽しいこととか』
『こんな単純なことでも?』
『単純なことでも』そう答えて大きく頷いた。

青木のそんな方針に沿って僕たちは
海にも行った。
夏も終りかけた砂浜にチープなレジャーシートを敷いて
立秋もとうに過ぎ、白波のたつ深い藍の海をみつめていた。
僕は膝を抱えて、青木は脚を投げ出して
ただ黙ったまま一時間も二時間もみつめていた。
僕の右手はシートの上にあって、
青木の左手の指が僕の手の形を辿るように撫で‥
やがてひとつに繋がった指が少しだけ寂しい胸の奥まで
撫でてくれていたと思う。

結局そうやって青木のすることは僕を癒すことになるんだけれど
僕は青木の言うところのへそ曲りで‥

『‥暑い』
『暦の上では秋ですけど‥夏っちゃ、夏ですね』
最後の入道雲が海の向こうにあって、尚更暑さを煽っていたし。

『どうしてわざわざこんな時期に‥』
ブツブツ文句を言っていた僕を無視して立ちあがった青木は
眩しい可視光線に満ちた天空を振り仰ぐ―
『真夏の色とは少し違う‥』
そう言って‥ずっと立っていた。
僕の後ろで‥。

大きな青木の影が、僕を隠して余りある影が僕の前の砂の上にまで伸びでいた。
『―どうして立ってい‥‥』
‥‥‥
ああ!そうか‥僕を護っているのか青木は‥
?暑い?と言った僕を自分の体で庇っているんだ。

僕らは進化するんだろうか‥
進化すると思って冬めく頃一緒に住むことを決めた。

ふと、視線を後ろの青木の指に送るとそこには僕の渡した指輪が光っている。
これじゃない、これがあるからじゃなくて‥
傍にいることで分ったことが色々あって僕らの絆を強くしたんだろう
心を、絆を強くして、愛情は深い地下をいく水脈のように澄んだまま
流れているのだと思う。

『‥いい加減、座れ。
僕は一緒に並んで座っていたいんだ、ずっと‥』
そう言うと、
『同じ位置にいて護れますか?』
そんなことを呟く。
『自分の体を張らなくても日傘くらいあるだろ』
『‥なるほど』

なにがなるほどなんだ‥

可笑しくなって僕はクスクスと笑う、
僕が笑うと青木は僕以上の笑顔で僕をみつめる。
そんなことが‥幸せなのか‥?

だったら‥僕たちは日を追うごと、確実に進化している。

そして、
花火をしたのはついこの間ことだった。

今は雨に濡れそぼっているあのウッドデッキで線香花火を
したんだ。

『八月はいいんですよ、どこでも花火をやってるし。
だからうちでは九月に花火です!』
ヘンな理屈をつけて月灯りがウッドデッキを照らす頃
何年も持ち越した様な線香花火を持ってきて、
アロマキャンドルの灯を一本づつ点けて夏の終わりの象徴の
寂しげな花火を昇華させた。

控えめな、パチパチと爆ぜる音が心地よくて
僕らは黙って耳を澄ませ、じっとその
小さな火の滴が切れて落ちるまでみつめていた。

『命の火だと思うと寂しいから、爆ぜ蘭だと思いましょうか』
ポツリと青木が言った。
『爆ぜ蘭って‥道端に咲いてるあのピンクの小さなヤツか』
『そうです。放射線状に線香花火が爆ぜるような感じで花をつけてるから
爆ぜ蘭って呼ばれてるらしいです』

‥‥草花ならまた咲くからか‥

また次の年に同じところで同じ様に咲くからか。
だけど―

『命はいつか終わるんだ。どんなものの命も‥
花だって花火だって‥』

だから愛おしいんだと思う‥。

『そうですけど‥もの悲しい気がして‥』

分っていた。
青木は夏が好きだと言っているけれど
勤めて明るくふるまっているってことを。

青木にとっては九月も夏なんだ。
八月で夏が終わるのがたまらなく嫌なんだ。

それを感じた時、僕は‥
命は終っても続くものがあることを確信した。

『想いは続いていくんだろ?
魂はこの世界がある限り続いていくものなんだろ?』
『‥そう思ってます』
だったらそれでいいじゃないか。

膝を突き合わせて小さな線香花火の温もりを感じていた。
九月の夕凪の中にいながら、優しい温もりに包まれていた。


雨は降り続き‥

それでもようやく薄明かりが海の向こうに浮かび上がって来るのを
みつめながらそんなこの夏のことを思っていた。

裸足の足元を濡らす雨は冷たく‥
「この雨が連れてくるのはキンモクセイの香りか」
僕の好きな。

「そうですか‥?」
「‥‥青木っ?!」

冷たく凍えた僕の背中から温かい腕が抱き締めてきた。

「何してるんですか、雨も降ってるのに。
脚も濡れてますよ」
「お前、わざわざパジャマ着たのか」
「裸じゃ寒いですよ。さすがに」
「パジャマも着る余裕がないくらいするな!
どうしてへとへとになるまでお前は‥」
「余裕って‥いつもないなぁ」
「しかし、夏になるとサカリがつくのはどういう事なんだ、そう言えば」
「‥オレがですか?!」
「そうだ。お前はそうなんだ、きっと」
「そんなことないと思いますよ、オレはいつだって‥」
「‥‥」

‥そうか、そうだったな。
気のせいだ、いつだってこいつはサカってる。

「でも寂しくなかったですか‥ひとりでこんな時間に雨の中で」
「寂しくなんかない。たいして濡れてもいない、屋根の内に一応入ってるし」
「でも濡れてる‥体は冷たいです‥」

すっぽりと背中から青木の体に抱き込まれた僕は微塵の冷たさも
すでに感じていなかったけれど。

「夏を送ってるんだ」
「‥じゃ、オレも一緒に見てます。
海に降る雨を‥」



微かな痛みともつかないものを忘れさせるように
九月の夏は僕らをそこに残し―

あの海の果てで寒冷前線になった。



終わり



九月の夏、なんとか3部作を終らせたくて書きました。
7割ほどできていたんですが‥
ダメになっちゃってて‥スミマセンでした。

2000年降り続く雨のことは「孤高のアリア」最終話でも書きました。
どんなだったのがすごく興味がありまして。

もう少し他の秘密創作はお休みさせて下さい。
ごめんなさい<m(__)m>
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 9月27日鍵拍手コメ下さいましたAさまへ

Aさま前回のコメへのレスもお返ししていない時に
コメいただきまして‥(/_;)
ほんとうにありがとうございますm(__)m
このところ、さすがに涼しくなりましたね。
薪さんと青木の二人で過ごした夏も終わろうとしていて
薪さんはやっぱり、寂しさを感じているのでしょうか・・

涼しくなりましたね。
でも昔と比べて半月くらい季節の進み具合が遅くなった気がします。
温暖化のせいでしょうか。
薪さんも一抹の寂しさを感じているのでは。
夏から秋に移行していく時はそんな少しの寂しさを感じます。
青木は薪さんを気遣って八月を楽しく過ごしたいと思っているのですが。
薪さんはそのことを分っていて‥でも
なんとなく八月は沈みがちになります。
失った命のことも思って。
そんなことと、季節が去っていく時の寂しさがあって
明け方に海に降る雨を見ていたのでしょうか。
雨を見ながらいろいろ思い出し、感傷にふける薪さんに
慌てて抱きしめにいく青木が目に見えるようです(^^)

薪さんがベッドを抜け出した時は気が付かなかったのですね。
ふと寝がえりを打った時に気がついて‥
慌ててパジャマ着て‥ギュッと。
青木は毛布のようにあったかくて大きいので
十分温まると思います〜v-10
そういえば、エドガーとメリーベルがやはり、
海に降る雨を見つめているシーンがあったなあと同じ雰囲気を感じました。
詩的で素敵です。

ありました!
ポーはとっても詩的ですがあのシーンは
詩のような言葉が連ねられていてステキですよね。
そのあとの展開がとっても辛いですが
キレイなシーンだと思います。
雨と言えば「ペニー・レイン」ですが(断言してますね、違いますか‥(笑)
ああいう雨音と雨の匂いまで伝わるようなお話しが書けたら‥
いつも思っています。
でもポーは全て美しいですね。
ぎゃーー(@∀@;)‥同じ雰囲気とは‥なんて嬉しいことを‥
畏れ多いことですが嬉しいですっv-354v-354v-354
秘密創作についての優しいお気づかい、ありがとうございます!
ヘタレの根性無しで‥申し訳ありません。
ありがとうございました<m(__)m>

  by ruru

 9月27日鍵拍手コメ下さいましたSさまへ

ぎゃーー‥なんとかメールが間に合いました(笑)
いつもいつもこんなんで申し訳ありません‥
優しいSさまに支えられてなんとか生きております。
連メール??というのか分りませんが
お返事お送りいたしましたのでご覧いただければ幸せです。

  by ruru

 

こんにちは~
私の愛しの青薪だとゆうのに今更コメしますっすいません!
私事ですが、連日緊張で胃がもげそうでした。あとは結果待つのみ♪
地味なこと、単純なこと、だけど普遍的な日常ほど幸せなことってないと思うんです。
大掛かりな旅行とかって、確かに楽しいけど、穏やかな日常が長く続く方が大事で、何かの時に思い出す姿もそれだと思うんですよね~
だからこのシリーズはお二人の幸せを噛みしめられる素敵な作品です。
想いは続くっていいですねぇ。そうあって欲しいです。それくらいお互いが想い合ってると信じてます。
どのシーンも好きだけどぉ~
海で、薪さんが隣においでしたシーンが一番グッときました。
いつも追い掛けてばかりの青木くんがやっと追い付いたような。
そして、最後、雨が明けて光が差して海面がキラキラ光ってる美しい光景が脳内イメージで浮かびました~。
とっても素敵な作品でした!
やっぱruru さんの文章は美しいなぁ~
下線の文

  by にに子.

 にに子さま、ありがとうございます!

コメントありがとうございます!
お陰さまでなんとか全3話UPすることができました(^−^)
> 私の愛しの青薪だとゆうのに今更コメしますっすいません!
> 私事ですが、連日緊張で胃がもげそうでした。あとは結果待つのみ♪
色々御苦労されたのですからきっといい結果が出るものと
思っております。
若くても胃はストレスに弱いのですね。

> 地味なこと、単純なこと、だけど普遍的な日常ほど幸せなことってないと思うんです。
> 大掛かりな旅行とかって、確かに楽しいけど、穏やかな日常が長く続く方が大事で、何かの時に思い出す姿もそれだと思うんですよね~
> だからこのシリーズはお二人の幸せを噛みしめられる素敵な作品です。
何気ない日常の青薪が好きです。
晴れの日、雨の日、曇りの日。
春の桜吹雪の下‥夏の日差しを受けながら
そして舞い散る黄金のイチョウの秋、粉雪の降る冬の日。
何気ない日常を描くことがわりとできたかな‥
そう思うとよかったなぁ‥感慨深いです。
結局幸せなふたりしか書きたくないし、痛い薪さんなんて書けませんでしたが
それでよかったです。
> 想いは続くっていいですねぇ。そうあって欲しいです。
それくらいお互いが想い合ってると信じてます。
>
心の奥底で原作のお二人もずっと想い合っていたと私も信じています。
恐ろしい結末などを打ち消すように必死に創作していたのですが
私の創作はそんな想いを込めながらも軟弱で(笑)
今思うと良かったかな、それで‥。
想い合うふたりは美しいし、優しいし‥とっても心が癒されます。
> どのシーンも好きだけどぉ~
> 海で、薪さんが隣においでしたシーンが一番グッときました。
> いつも追い掛けてばかりの青木くんがやっと追い付いたような。
薪さんは後ろに青木を控えさせるのではなく
並んで前に進みたいのです。
年上とか、年したとか経験とかそんなものはどうでもよくて
ただ傍にいたい、一緒にいたいと言う想いだけ抱いて
並んで歩きたいのです。
守ってもらうだけでなく守りたいし。
共に生きて共に滅ぶのが理想です。
> そして、最後、雨が明けて光が差して海面がキラキラ光ってる美しい光景が脳内イメージで浮かびました~。
夜が明ける頃には雨は上がり、
澄んだ秋の空気を胸いっぱい吸って、高い秋空をふたりで
仰ぎ見たことでしょう。
少し紫かかった透明感のある美しい秋空です。
> とっても素敵な作品でした!
> やっぱruru さんの文章は美しいなぁ~
ありがとうございます!
そのような身に余る褒め言葉!とてもありがたいです。
コンプレックスの塊ですので嬉しいですi-175
美しい文章を書きたいといつも思っているのですが
なかなか上手くいかなくて‥(^_^;)
そういうお言葉いただいて少しは上に登りたいと‥そう思っております。

  by ruru

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