Admin * New entry * Up load * All archives 

 

Fleurage―たおやかな花たち―

09«1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31.»11
このページの記事一覧

    

Posted on --:--:-- «edit»

Category:スポンサー広告

スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

tb: --     com: --

go page top

Posted on 20:15:24 «edit»

Category:立夏の記憶

立夏の記憶14 

14話なのに立夏は20個記事があるのです‥
ちょっと書き方としてどうなのか‥(^‐^;)

立夏の記憶14



過激派テロ組織、極東義勇軍のリーダー田村がフィリピン当局に拘束されたのは
5月も最終週に入った頃だった。
裏金も飛び交うことなく拘束されたらしいと、薪さんが言った。

「警察力が上がったって事ですかね」
「警視庁から10人の捜査員が捜索に参加したからな」
「えっ、それって‥」
「勿論、違法だ。
フィリピン国内での犯罪人の捜索に日本の警察が加勢するなど
違法に決まってる。
インターポールでもないのに」
「そうですが‥違法な破壊活動をする連中をまともな方法で
逮捕できると思う方がおかしくないですか?」
「‥その通りだ」
‥反論され、諭されるかと思った。

薪さんは今回のことで警察機構の脆弱さに心を痛めたのかもしれない。
介入した政府機関の責任問題を問えるとは思っていないだろうし、
理不尽にも消された記憶を取り戻したとしても消せない不信感が残ってしまう。

室長室のデスクから立ち上がって、ブラインドの隙間から雨を見つめる薪さんの横顔を
見つめる。
「出掛ける」
と、振り向いて薪さんが言った。
「一緒に行きます」
「‥‥いい、ドライバーだけで‥」
そう言いかけてオレを避けるようにコート掛けにあった上着を取ろうと
手を伸ばした薪さんの腕を掴んで‥真正面に回る。
「一緒に行きます!ひとりでは行かせません」
キッパリと言い切ったオレを見上げて、怪訝な顔をした。
「三枝長官が今何かするとは思えない、大丈夫だ」
「そう言う事じゃありません、そうじゃないんです!」
「‥‥」
じっとオレの心の深淵まで覗き込むように見つめていた薪さんが
「‥好きにしろ」
小さな溜息をつき背中を向ける。
薪さんの心がいつもより少し固く冷たくなっているように想って‥
ひとりにしたくなかった、例え1時間でも‥いや1分でも。

駐車場で後部座席のドアを開けたオレの後ろを素通りして
助手席のドアを自分で開けるとさっさと乗り込む薪さん、
「‥薪さん?」
「いいから‥さっさと出せ」
「‥はい」
仕方なく黙ってシートベルトを装着した。

「東野官房長は罪に問われないんですか?」
いつものように流れ去る車窓の景色を眺めていた薪さんに問いかける。
「道義的責任が無いとは言えないが、警視庁‥警察機構に与える影響や
損失を考えてみた時‥その責任を問うのは得策じゃない」
「それは―三枝長官にとっての損失って事ですか?」
「‥‥どういう意味だ?」
車窓からオレの顔に視線を移し、少し驚いたような表情で
そう尋ねてきた。
「三枝長官の組織を統率する能力は、東野官房長があってこそだと思えますけど。
長官は官房長を信頼していると言うか‥官房長の想いはともかく」
「官房長の想いって‥」
「えっ?だって官房長は20年以上も長官を想ってこられたんですよね」
「‥誰がそんなこと言った?」
唖然として薪さんがそんな事を‥それこそどうしてそんなことを今更薪さんは‥?
確かに薪さんの口からもそんな感情的な部分の話は聞いてはいなかった。
ただ、当時の法務省の刑事局公安課の課長の職にあった官房長が
上からの圧力により犯人グループに通じた警察官の情報を
警視庁に降ろさなかった‥そのことを聞いた。
何故降ろさなかったのか、法務大臣周辺からのプレッシャーに立場上従うほか
道は無かった‥そう理解できるが、それだけではないだろうとオレは
考えた訳で。
だったら他の理由はなんだ‥?そう思った時、浮かぶのは長官のことだった。
普通知り合いだったら‥相談するだろう、しかしそれをしなかった。
ひとりで全ての責任と苦痛を被ろうとしたのだろう。
しかし、事件はああいう形になってしまって‥。

「誰にも聞いてはいませんが、経緯を見た感じではそうとしか考えられませんが」
「‥驚いた。そんなことお前が分るとは思わなかった」
‥酷いな、ひとを心の機微が分らない人間みたいなことを言って。
「分りますよ、でなきゃどうして奥さんが亡くなってもあんななんですか、
愛情は全部長官に向かってたんでしょう?」
「‥‥それほど想っていたらどうして離れた?
20年も偽って‥どうして生きてこられるんだ。
あの人は‥」
「あの人は‥?」
「もっと早くに楽になれたはずなのにいくらでも。
そこまでして真実を包み隠したかったのは‥何故だ」
再び梅雨の走りのような空模様の車外へ顔を向けたまま‥
まるでひとりごとでも呟いているような―
「ひとの心は梅雨時の空のようだな」そして、そう付け加えた。


続く


よろしければ、こちらをポチっとお願いいたします。

tb: --     com: (0)

go page top

 コメント 

go page top

 コメントの投稿 
Secret

go page top

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。